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お金マンダラ
【第1回】レジ袋は買うべき?

ビジネス書作家で商品開発コンサルタントをしている美崎栄一郎です。キャッシュレスについての本を書いたご縁で、すごいカードで、連載「美崎栄一郎のお金マンダラ」を始めることになりました。

この連載では、お金にまつわる話を色々と話題にしたいと思います。物事の仕組みを探求するのが好きで、歴史好きでもありますので、話がやや脱線気味になるのはご了承ください。

有料化されるレジ袋の定義

レジ袋が原則有料化されました。2020年の7月からです。レジ袋と定義されたものは、無料で配布してはダメで、1円以上で売ることがルールです。

レジ袋の有料化している定義があって、その定義に当てはまるものが有料なのです。たとえば、持ち手がついていなければレジ袋ではありません。切手を買ったときに入れてくれる薄いビニールの入れ物はレジ袋ではないので、無料です。

ゴミの問題を問題視するのであれば、持ち手とか関係ない気がしますが、このビニールは他に何も使えない。お風呂場の排水溝に溜まった髪の毛を捨てるくらいにしか使えないわけで、再利用はあまり期待できない。

まぁ、貰わなければいいわけなので、切手を買ったときはファイルに直接入れるか、本に挟んでいることが多い。私の場合、本に挟み込んだ琹は、忘れてしまいがちなので・・・。たまに、琹がわりに挟んだ1000円札紙幣が出てくると、徳川の埋蔵金を見つけたかのごとくの嬉しさがあるわけです。

持ち手の有無で定義しないとビニール全般を規制しなければならないわけです。雨の日のお店に置かれるビニールの傘袋も有料化の対象になると雨が降ってお店に入ると3円となると、お店に入る人がいなくなるかもしれません。3円が惜しいので、濡れたままの傘を持ち込む人が出て、濡れた床で滑って大怪我をする人が出るかもしれません。

想像ですが、こういう議論がいろいろあって、持ち手の有無に落ち着いたんだろうと思われます。

では、環境ゴミにならなければいいだろうということで、何度も使えるビニールバックとレジ袋の何が違うのかということで定義されたのが、分厚さです。50マイクロメートル以上であれば、繰り返し使えるので、有料化しなくてよいとされています。

高級なお店のショッピングバッグなどは、この厚さをクリアしているので、高価な買い物をしたあとに店員さんが「レジ袋有料ですが、どうされますか?」と野暮な質問をしなくてよくなるわけです。私はポールスミスというイギリスのブランドが大好きなのですが、高価な服を買って最後にケチくさいレジ袋の話をされたくはないですから。

アップルの直営店で商品を買うと従来はビニールバックでした。ですが、数年前からアメリカでは紙袋に変わっていました。ビニールバックをなくそうというは先進国の世界的な流れだからです。日本もこのレジ袋有料化以前に、紙袋に変わっていました。もちろん、厚さの規定でいうとクリアしていたわけですが、ビニールより紙のほうがリサイクル可能だということで紙袋への流れが出ているわけです。ユニクロもショッピングバックのビニール袋を廃止して、紙袋化しています。海外にも店舗があるグローバルブランドになっているので、世界的な流れに従っているのでしょう。

ただし、素材の強度としての性能はビニールは素晴らしい。濡れてもやぶれない。重いものを入れても、ちぎれない。匂いも漏らさない。モノを入れる素材としては、パーフェクトだったわけです。その強度故に自然に放出すると、漂い続けるということで、亀のお腹などから発見されたりして、ショッキングなニュースになったわけです。

亀がビニールを食べてしまうのは、海藻などと間違えるからだということですが、たしかに見た目は同じです。鮫がサーファーを襲うことがあるのは、亀と間違えてしまうためということを聞いたことがありますが、似てると間違えて食べてしまうことがあるのは、仕方がないことでしょう。

ここで問題は捨てるから悪いのであって、素材そのものが悪いわけではないのです。ビニールバックは石油から作られるわけですが、年々改良してより高機能になっていったわけです。そのおかげで、自然界で残留するという問題になっているわけですが、そもそもで考えると、自然なものなのです。

数年、数十年レベルで考えるとそうですけど、石油だって、もっと長い時間をかけてできたモノだと考えると、地球規模だと、分解しないわけではなく、リサイクルされるのです。そうはいっても、私たちが生きている間で考えると、目の前が汚れていく様がよろしくないということで、ショッピングのビニールバックが悪者になったのです。

レジ袋がビジネス戦略に使われる?

経済、ビジネスの面からレジ袋を考えると、お店にとっても良いことが多いのです。いままで、無料で配っていたものを有料化してよくなりましたので、採算がよくなります。100円の商品を買っても、レジ袋を1円のコストをかけてオマケとしてつけないといけなかったお店も有料化することで余計なコストをお客様に負担してもらえるようになりました。

仕入れ値やサイズも違うので、最低金額だけは設定されていますが、上限は決められていません。おそらくですが、これからはアーティストとコラボレーションしたようなレジ袋、人気キャラクターとコラボレーションしたようなレジ袋が登場するでしょう。

その場合は、通常のレジ袋より高級感を出すでしょうから、レジ袋の厚さは無料配布してよい定義の50マイクロメートル以上のビニール袋になっても有料になるはずです。キャンペーンとして、先着1000名のお買い物をされた方に、限定レジ袋ということで販促するかもしれません。

レジ袋の有料化の流れで注目すべきなのは、あまりビジネスの一線にいなかったレジ袋が各社のビジネス構築において使えるアイテムになったことなのです。

ユニクロは、10円で紙袋を販売しています。紙袋を有料化しろとは決まっていませんが、包装コストを抑える戦略も兼ねています。ブランドショップは、定義を外して、従来通り無料するお店と有料化する店に分かれるでしょう。

スーパーやコンビニは軒並み有料化しましたが、北海道を中心に店舗展開をしているセイコーマートは無料のままです。バイオマス素材を25%以上配合すると、定義から外れて、無料で配布してもOKなのです。無料と発表したしたことでネット上では称賛の声も上がっています。これも戦略です。

価格をつけて良いということは、各社いろいろと異なるアプローチでレジ袋というものを再定義できます。日本のレジ袋有料化の定義を決めたのは、国ですが、そのレジ袋を自社の中でどう定義するのかというのは各社の戦略です。ぜひ、みなさんの買い物の際には、意識して、比較して、観察してみてください。

PROFILE

美崎栄一郎 (みさきえいいちろう)

ビジネス書著者、講演家、商品開発コンサルタント。
1971年横浜生まれ、大阪育ち。大阪府立大学大学院工学研究科修了後、花王株式会社で約15年勤務。2011年に独立し、現在に至る。
花王時代から社会人向けに勉強会・交流会を主催、著書を執筆。
これまでの著書は『iPadバカ』『キャッシュレス生活、1年やってみた 結局、どうするのが一番いいんですか?』など40冊以上。