「フリーターから一転、渡仏してパティシエールに!?」その人生をお金から読み解く

今回は完全予約制のお店、「ひつじ製菓」を営む、西山由美子さんにインタビューを行いました。

実は西山さんは、製菓の専門学校を卒業後、就職をせずに11年フリーターとして生活し、そこからパティシエールを目指す決意を固めて、パリに渡り修行をするという異色の経歴の持ち主です。

一体この人はどんな人生を送ってきたのだろうか?

今回は西山さんの人生を「お金」という観点から読み解き、「お金に関する価値観」をお聞きしました。ぜひ最後までご覧ください。

「お金が無いなら洋服を作ればいい!?」創意工夫でギリギリを楽しむ学生生活

-本日は取材を受けてくださってありがとうございます!よろしくお願いします。

西山さん:よろしくお願いします。

-まずはフリーターになる前、学生生活での「お金の使い方」はどうでしたか?

西山さん:専門学校に通っていた時は、洋服を作るための布を買っていました。

-布ですか!?洋服ではなくて?

西山さん:はい(笑)着たい洋服がブランドものだと、お金が無くて買えないことが多かったです。でもそこで諦めたくなくて、「どうにか似たような好きなデザインの洋服を着るにはどうすればいいだろう?、、、よし作るか!」と考えていました。

-普通じゃないですね(笑)

西山さん:そうですね。今振り返ると普通ではないかもしれませんね。でも高校時代に洋裁の技術を学んでいたこともあって、洋服を作ることが楽しかったです。

-なるほど…ちなみにアルバイトなどはしていましたか?

西山さん:週に数回ケーキ屋さんでアルバイトしていました。大体月4~5万円くらいですかね。

-(思ったより少ない…)となると、洋服の材料費とか考えると生活はきつそうですね。

西山さん:学生という事もあり、わずかに仕送りも貰っていましたが、余裕は無かったですね。「あっ食費がない」とかはよくありました(笑)でも働きたくもなかったので、アルバイトは増やしませんでした。やりくりするのも上手だったので。

-具体的にはどんなやりくりをしていたのですか?

西山さん:例えば500円チャレンジとかやっていましたね。500円玉握りしめて、特売の野菜などを買って、いかに少額で料理ができるのか?こういうチャレンジは好きでした。ギリギリを楽しむゲームみたいで。

-なるほど。【限られたお金の中でも好きなことを諦めずに、工夫する生活を楽しんでいた】のですね。

「最低限生きていけるお金があればいい」会社に縛られないフリーター生活

-なぜ専門学校卒業後にそのまま洋菓子業界へ進まなかったのですか?

西山さん:とにかく就職して働きたくなかったですね。就職したら最後、会社の歯車になってしまいそうでした。特に当時のお菓子業界って厳しすぎて、辞める人も多いと耳に挟んでいたので、そんな辛い思いは耐えられないと思ってフリーターになりました。

-フリーター時代はどんな生活でしたか?やっぱり学生時代より貧しかったとか?

西山さん:いや、むしろ少し余裕ができましたね。喫茶店とスナックなど2つを掛け持ちして、手取りで大体月17万円くらいもらっていたので、貯金もちゃんとできていました。

-手取りで17万円ですか!?新卒1年目なら正社員並みにもらっていますね。

西山さん:そうですね。すごく働いていたので(笑)フリーターだけど、たぶん巷の正社員以上に働いていたかもしれません。

-あれ?働きたくないからフリーターになったはずでしたよね?

西山さん:そうですね。やっていくうちに、より良く効率的にやるには?と色々考え始めると楽しくて、あと一緒に働いていた人にも恵まれました。

-一緒に働いていた人はどんな方々でしたか?

西山さん:気が合う、威圧的じゃない人ですかね。あと個性的な人がとにかく多かったです。

-個性的な人?

西山さん:はい。働いていたスナックは劇団が経営していたので、大道具さんや女優さんなど個性豊かな人が多かったです。劇団なので、文学的な情報とかもどんどん入ってきて、この頃から気になる本を頻繁に買って、空き時間とかは本を読むことに夢中になっていましたね。お金も本によく使っていました

-なるほど、、正直もっとつらいフリーター生活かと思っていました(笑)

西山さん:いやいや、むしろフリーターおすすめですよ!色々な仕事ができるし、人との出会いもたくさんありますから。お金も案外なんとかなります(笑)

「自信を持って言える何かが欲しい」有り金はたいてパリ修行へ

-そんな気に入っていた生活からパリに行ってまでパティシエールを目指した理由は何ですか?

西山さん:色々あるのですが、きっかけは行きつけの美容師さんですね。その方は専門学校を卒業されて一度は美容師になったのですが、辞めてフリーター生活をしていた時期があったそうです。そんなある時、その方が友達に「今何やっているの?」と聞かれて、堂々と「美容師」と言えなかったのが嫌で、また美容師になるべく修行をしたらしく、これ聞いた瞬間、正しく「私じゃん!」と思って、もう一度頑張ろうと決意しましたね。その後、その美容師さんは店長にまでなっておられたので。

-素晴らしい美容師さんですね。でもじゃあパリで修行だ!ってすごいですね。お金はどうなさったのですか?

西山さん:アルバイト時代の貯金とか、有り金全部はたいて行きましたよ。「もう今使わないでいつ使うの?」って気持ちでしたね。結局、有り金だけじゃ足りずに、母親にも少し借りました。

-なるほど。そこまでして行きたかったパリでの生活はどんな日々でしたか?

西山さん:貯金を切り崩してギリギリの生活でしたね。数か月間、スタージュ(研修生)としてお店で修行をさせていただいていた頃は無給だったので。でももの凄く貴重な経験が出来ました。

-無給だったのですか!?それでよく生活できましたね。

西山さん:案外なんとかなりました。友達の料理人のパーティーに遊びに行ってご飯もらったり、先輩におごってもらったりしていましたね(笑)それでも貧しさは気にならなかったです。

-貧しさが気にならなかったのは、一体なぜですか?

西山さん:それは毎日が楽しかったからですかね。お金が無くても休日は公園で本を読んだり、ケーキ屋さんに並んであるケーキを眺めてみたり、散歩したり、それだけで幸せでした。パリってまるで町中が美術館みたいで、歩いているだけで最高でした。

-行ったことないので、うらやましいです。パリでの経験は今どう活きていますか?

西山さん:今のお店(ひつじ製菓)での方針に活きていますね。フランスって本当に個人主義です。店員さんと顧客が対等で、過剰サービスなんて一切なしです。例えばレジの人とかやる気が全くないので、商品を投げ渡されたことも多々あります(笑)。

-もしかして西山さんのお店でも、、?

西山さん:流石に不快に思われるような対応はしていないつもりです(笑)。でも過剰なサービスもしなくていいんじゃないかなと。あくまで私は私。私の考えに共感してくださる方を大切に思って、商品を楽しんでもらえたらいい。この考え方はやっぱりフランスでの経験のおかげかもしれませんね。

パリからの帰国、日本でのいじめ、心地よい場所「ひつじ製菓」を開業

-スタージュを終えて、従業員になってからはどんな生活でしたか?

西山さん:給料はもらえ始めましたが、少々食料が冷蔵庫にストックができる程度でしたね。お金が入ってきた分、2~3ヶ月に1・2回は、ミシュランのレストランや話題のレストランとかに食べに行って使い切ってしまってました。食に携わる者なら本物を知る事は投資だ!って先輩に誘われたりしましたね。

-良い先輩ですね。パリから帰国する際のきっかけはなんでしたか?

西山さん:きっかけはお店のオーナーに「もうお前は日本でやった方がいい」って追い出されるように帰されました。最初は悲しかったですが、今思うと帰国を後押ししてくれてありがたかったです

-帰国後、最初は開業ではなく、お店でパティシエールとして働いていたそうですが、開業までの転機は何でしたか?

西山さん:一番は逃げ出したくて開業しました。働いていたお店のシェフの新人への接し方が苦手で、嫌な雰囲気の職場だったので、こんなところで働くよりも自分で自分の居場所を作ってやろう!と思いました。だから稼ぎたいから、とかそういう気持ちではなかったです。

-「自分で自分が心地よい居場所」それがひつじ製菓なのですね。しかし開業するとなるとお金の心配は無かったのですか?

西山さん:あまりないです。働き始めてからの貯金もありましたし、いざとなったら親に借りればいいかなと。何よりもまず自分の環境を作ることが大切だったので。

お金は浪費せずに将来に投資する。やりたいことはお金で我慢しない。

-西山さんって本当にお金で色々我慢したりしないのですね。

西山さん:そうですね。お金は世間体とか気にしなければ、意外と賄えるものだと思っています。それこそ親に借りるとか。だから本当にやりたいことならば、借りられるとこにお金を借りて挑戦した方が楽しいです。ただ、お金を使うときは浪費ではなく、将来につながる投資かどうかは考えた方が良いですね。

-確かに西山さんはフリーター時代に貯金をして、パリに行くとなったら思いっきり使っていましたね。

西山さん:はい。将来につながる投資ならお金を使えばいいと思います。それが本であれ、体験であれ、なんでもいいです。実際、わたしもミシュランでの食事は投資として活きていますからね。

「お客様からの認めてもらった証」西山さんにとってのお金とは?

-最後に西山さんにとってのお金とは何ですか?

西山さん:私にとってのお金とは「お客様から頂ける感謝のポイント」のようなものです。お客様に認めてもらえたらポイントがもらえて、そのポイントを使って、またお客様に喜んでもらう何かを提供する。こうやってお客様に喜んでもらえることにワクワクします。

-いまはどんなことを提供して喜んでもらいたいなどはあるのですか?

西山さん:具体的には何も決まっていません。でも日本各地でひつじ製菓のお菓子を食べてもらいたいと思っているので、それを少しづつ実現していきたいですね。あとはイベント事をもっと開催してみたり、とにかく活動を狭めないで、広く他の人に喜んでもらえるような活動を行っていきたいと思います。

  • 「お金はお客様から認めてもらった証」
  • 「お金が無いことでやりたいことは諦めない」
  • 「浪費はしないけど、将来のためになることにはお金を使う」
  • お金に縛られずに自分の人生と向き合う西山さんは、どこか輝いて見えました。

    皆さんにとっての人生とお金はどんな関係でしょうか?

    ぜひこれを機会に、「あなたにとってのお金」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。